ある日の村野藤吾—建築家の日記と知人への手紙
これは、建築家村野藤吾が綴った日記や書簡など(老齢期のものが中心)をまとめた本で、人柄がよく伝わってくる。
建築を巡る旅や、自らの仕事に思い悩む様子、家族への愛などが綴られている。
これを読んで驚いたのは、いくつになっても果てることのない飽くなき探究心と驚くべき行動力、そしてその謙虚さだ。
赤坂離宮の改装という大仕事のために、ベルサイユとトリアノンを見学しに行った際の日記に、
オーバーに考えぬことが大切。いわれたことを忠実にやることが大切であると思う。と書かれていたのを目にしたとき、はっとさせられた。
このとき、氏は77歳。
数々の名声を得て、大仕事を受けようとするときに、このような心持ちでいられるというのは、なんと素晴らしいことだろう。
それに対し、私はまだ何事も為していないというのに、すでに謙虚さを忘れてしまっているのではないか、努力と探究心がまだまだ足りないのではないかと自問した。
村野藤吾という人は、作り出した数々の建築だけではなく、その背景にある生き方も素晴らしいものだったのだなぁ。
いや、そういった人だったからこそ、細部まで丁寧で丹念な建築を生み出すことができたのだろうな、と感じた。
建築家を志そうとしている今、読んで良かったと思える一冊だった。
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